少年

 
 
最近は日が暮れるのが早い。
作業に没頭していてうっかりチョコの散歩を忘れていると外は真っ暗。

きのうもそんな時間になり、懐中電灯を手にチョコと散歩していました。
さびしくて暗い住宅街を歩いていると、後ろからひたひたひた、、、と聞き慣れない足音。
振り向くと、暗闇にぼーっと小さな黒い影がこちらに向かってきました。

こんな暗い道に子供が1人で歩いているのに違和感を覚え、迷子? もしかしておばけ(??)などといろいろ考えながら何度も振り返っていると思いもかけず向こうから 「こんばんは」と早足で近づいてきました。
小学校低学年と思われる小さな男の子でした。

いまからおうちにかえるの? と聞くと「はい」という返事。
チョコを見て「かわいい犬ですね、なんという犬なんですか?」
そうか、犬見たさで近づいて来たのか、と思いチョコを近づけると、怖そうにあとずさり。どうも違うみたい。会話のつかみ、だったよう。

ー この辺はむかし山だったんですかね?(地名に山がついているので)
ー きっと山を切り崩して家を建てたんですね。
ー この道は夜になると真っ暗ですね。
ー そういえば新しい”島”ができましたね。
ー 今日は月が見えませんね。

と、次から次へと小学生とは思えない雑談力。
すべては彼がリード、そしてすべて敬語。

気がつくと家の前に着いていました。
お家はまだ遠いの?と聞くと、もう少し真っ直ぐ行って曲がったところだそう。
私の家はここだから気をつけて帰ってね、というとうれしそうに「ぼくここ知ってます。いつも歩いてて車が来たときはここで待ってるんです。よろしくお願いします。」と、ぺこりとおじぎをしてまた夜道に姿を消しました。

家まで送ってあげればよかったかな、、とあとでちょっと後悔。
考えてみたら私の方が彼に家まで送ってもらってしまった。

考えれば考えるほどちょっと不思議な少年だった。
暗闇での登場の仕方、あの子供とは思えない雑談力にあの敬語、、、
やっぱり彼は?
 
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です